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ネムリヒメ.
第21章  あの夜の王子様.





雅くんはアタシを自身の熱で溶かし、喰らい尽くそうとする獣のようだった

逞しいカラダに抱かれ、逃れるこの出来ないアタシを甘い熱で犯していく


「や………待っ……ぁ…っ…」

「……ちぃ…」

「……っ……!!」


何度も名前を呼びながら、耳元にキスを落とし、熱い吐息を吹き掛ける雅くん

ドレスの薄い布越しに感じる火照った彼の肌

露わになっている熱を帯びた彼のカラダからは、一層甘い香りが立ち込めてアタシたちを包み込む

背中に回された手はドレスのファスナーを探りだし、もう片方の手は膝の上に乗せたアタシの腰を抱く


「渚さん……」

「…………!!」

「渚さんの匂いがする……」


アタシの首筋に顔を埋めながら、ポツリ…

雅くんが口にした名前に

心臓がドクンと大きな音を響かせた


渚…くん……


そう胸のなかで唱えると、どうしようもなく視界がじんわりと歪むがわかった

雅くんの匂いに囲まれながら、フッと一瞬だけ鼻を掠めた彼の香りに胸が痛いほど締め付けられる


「まるでお前を…自分のだって言ってる…」

「ッ……」


過る渚くんの面影…

耳元で囁きながらファスナーを下げる雅くんの指先が、露わになっていく背中に直に触れ、肌を擽る


「この痕も…」


ドレスに隠れて、葵くんが消さなかった鎖骨の噛み痕…

肩を外され、剥き出しの肌に刻まれたそれに雅くんが指を這わせる


「随分とまあ、入れ込まれたもんだな…」


さらされた素肌に彼は目を細める



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