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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
「………っ!!」
その言葉に思い当たることはただひとつ…
すると郁の手のなかから雅の目の前に空の小瓶がふたつ落とされた
それはバラバラに絨毯の上を転がり、弧線を描いてやがて雅の足元に辿り着く
「それ…この子には少し多かったようだね。おかげで想像以上に楽しめたけど、楽しすぎてさ…
フッ…フフッ、壊しちゃった」
怒りを剥出しに顔を歪める雅に向かって、至近距離で郁が堪えきれないかのようにせせら笑う
「あーあ、こんなに効きがイイコ初めて。お前もヨカッタろ、雅くん!?」
「………!!」
「フッ、ハハ…なにその顔。シャレかなんだか知らないけど、せっかくの水も滴るイイオトコが台無しだよ」
一瞬弾かれたように表情を強張らせ、瞳を大きく見開いた雅に浴びせられる耳障りな笑い声
ベッドの上からは未だに熱をもて余す千隼の甘ったるく苦しげな声が聞こえてきて、ふたつの不協和音が絡み合って調和しないまま雅の感情をぐちゃぐちゃに掻き乱す
「…ほら、あんまり放っておくとかわいそうだろう。快楽を欲しがってカラダが悲鳴をあげてるよ」
「ッ…郁!!」
妖しい色をした郁の瞳に鎖を鳴らす彼女の肢体が反射する
刹那、雅の拳が風を切った
鈍い音をたてながら床の絨毯から埃が舞いあがる
それからしばらく沈黙が部屋を支配していた
しかし…
「どうした、雅…」
「ッ……!!」