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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
その沈黙を先に破った笑い声に、脇腹に走った重たい痛みを感じながら雅の顔が苦痛に歪んだ
「今日はキレが悪いんじゃないか?」
「ぐっ…う、あ…」
床に倒されたまま、踏みつけられた腹部に沈められる郁の足
それは確実に雅の急所を狙ったもので…
「葵にでも蹴られたか…なのに望なんかとプールで遊んでるからだろ」
「ッ…あぁ!!」
こいつ、なん…で…
骨が軋む激痛に視界が霞む
反射的にうずくまろうとする雅の目に映るのは、笑い声をあげたオトコの笑っていない瞳だった
「もっと遊んでればよかったのに…」
「な…ん…ッ…!!」
偶然なのか…
まるですべてを知っているかのような郁の言動に目を見張る雅
しかし、目を見張った理由はそれだけではなかった
─カチャリ…
郁の手のなかので不気味な音をたてた黒い鉄の塊が寡黙な光を放つ
「せっかく誰もこないって彼女に教えてあげたばっかりなのにさ…」
上からただならぬ圧力で寡黙に見下ろす銃口…
そこに郁の酷薄な笑みが添えられる
「オレのお膳立ては不服だったか、雅」
「ッ…訳わかんねぇこと言ってんじゃ…!!」
「自分の居場所に気づいたところで誰もこない…
彼らには君よりも大事なモノがあるからここには誰もこないって…」
「な…」
「せっかく教えてあげたのに、物事っていうのはなかなか筋書き通りにはいかないな…」
「………!!」