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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
「機転を利かせてオレに探りをいれてくるあたりは、悪くはなかった。
…だけど、残念なことにお前たちの身動きを取れなくするのなんて容易なことだろう」
こいつ…
「特に、雅…お前は一番楽でよかったよ」
「………!!」
なに言って…
今の今までそう思っていた雅だが、ゆっくりと侮辱するような郁の声に頭のなかで点が線に姿を変えていく
さっきまで自分にまとわりついていた望…
それじゃあ、あいつがプールでオレに絡んできたもの、郁のことを示唆したのも…まさか全部…
「ああ、でも勘違いするなよ、雅」
ッ…!?
しかしそこで、表情を固くしたままの雅の思考を郁が遮った
「勘…違い!?」
「…言ったろ!?お前が一番楽だったって」
訳がわからないと描かれた雅の顔に思わず笑みを溢す郁
「確かにお前の足止めには望を遣ったが、オレはなんの細工もしていない」
「な…ッ…」
「あの生意気なお坊っちゃまだけはオレの手には終えないからな…
まさか渚と同じ血が流れてるなんて冗談にしか聞こえないだろ」
「………」
「ただし…顔さえ合せれば嫌でもお前と望が絡み合うのなんてもはや自然の道理だ。
余計な細工なんて必要ない。ククッ…仲いいもんな、お前たち」
「ふざけん、ッ…──!!」
口のなかに広がった鉄の味…
鈍い音をたて、愉快だと言わんばかりに喉を鳴らした郁の足が、噛みつく勢いで睨み上げた雅の腹部を思いきり蹴りあげる