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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
カジノを飛び出す際に必要最低限の身なりを整えただけ…
普段だったらそのオシャレっぷりから到底考えられないが、今は格好なんて気にしていられない
それは彼がここへどれだけ急いできたことかを物語る
ましてや自分のオンナたちに不甲斐なくも身動きを封じられるなんて、威張れることではないが日頃からうまくコントロールしている葵の意思ではけしてない
身辺整理と称したオンナ切りをまんまと逆手にとられた
それは偶然か…
否、このオトコはそういうオトコだ
─全部知ってのことなんだろ…
自分にも落ち度があったにしろ、このオトコにまんまとしてやられた
「…郁くんでしょ、彼女たちをオレの足止めに仕向けたの」
葵の空いていた手が、自分に軽蔑の眼差しをむける郁の胸ぐらを勢いよく捻りあげる
─ご名答だ…
まるでそう返事をするかように郁の口もとが妖しく歪められると、葵の瞳に宿る怒りの色が更に濃さ増す
その綺麗な顔だけではなく全身から放つただならぬ殺気と、刺すような視線…
それだけで人ひとりを殺せてしまいそうなほどだ
「なんだ、せっかくお楽しみのお膳立てをしてやったのに不服だったか!?」
「…イイオトナのくせに"お節介"って言葉知らないの」
「ククッ、そうか。でも…お前のことだからもちろんちゃんと全員イカせて大人しくさせてきたんだろ。あの程度の相手、お前なら朝飯前だもんな」