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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
「葵、避けろ!!」
っ…!?
エントランスの扉が乱雑に破られ、部屋のなかに聞き覚えのある大きな声が響き渡る
そして…
───!!
───!!
───!!
先に一発…
そこから一拍おいて立て続けに二発…
乾いた大きな破裂音が張りつめた空気を切り裂いた
「………!!」
声の主が誰だかなら、そこにいる全員が一致してすぐに答えられただろう
しかし、その言葉の意味までは理解している時間なんてなかった
鳴り響いたのは銃声だ
しかも一発だけではない
…合わせて三発
弾を発射したのは郁が握っているモノではない
それはあきらかに向こうからこちらに向かって意図を持って放たれたものだ
空砲!?
威嚇射撃か…
声の主からできるならそう思いたかった
だけど、現実は違った
横たわる雅の視線の先で、真っ赤な滴がポタリ…ポタリと絨毯に赤黒い染みを作っていた
それは次第に量を増し、やがて小さな水溜りにまでなるほどだった
自分の顔の傷口から出るものとは比にならない赤が目の前に広がる
─これって…
すると、
状況を雅の頭が理解するよりも早く、その水溜りのうえに誰かが崩れ落ちるように膝をついた
「おい、郁…言いたいことはそれだけか」
そして、頭上から降り注ぐ声にハッとして視線をあげると、左胸を押さえながら信じられないという表情をしている郁の姿に出くわす