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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
…それからどれだけの時間がたったのだろうか
こんなにも心地の悪い静寂は初めてだった
気がつけば手から滴り落ちた滴が雅の真っ白なシャツを赤く染めていた
濡れた白に滲む赤…
それはまるで滴り落ちた涙のように雅の瞳に映る
─オレが泣かせなかったら…
時間というものは尊く、過ぎてしまえば取り戻せないものだ
─そんなのわかってるよ…
だったらせめて…
「夢ならいいのに…」
今起きたことすべてが…
今日アイツに起きたことすべてが…
"ちぃ…"
自分にすら聞こえるかどうかもわからない声が、切れた唇から零れ落ちる
ところが、
「えっ、ちょっ、なん、なにこれッ───!!?」
突如、凍った空気をわけのわからない悲鳴が派手にひっくり返し、ぶち壊す
なんだよ…
こんな時にまで空気が読めないバカなのか、こいつは…
空気が読めたところで誰の特にも、目の前の惨事が帳消しになるわけでもない
ただ、そんなバカは消去法なんて使わなくても思い当たるのはひとりしかいなくて…
たった今まで虚無感に覆われていた頭にガンガン入ってくるわめき声
雅は半ば強制的にぼんやりとしばらく定まらなかった焦点を戻し、視線で悲鳴の出所を追った
案の定、けたたましい悲鳴をあげていたのはそれまで沈黙を保っていた葵だった