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ネムリヒメ.
第24章  Get back.





しきりに背中を指差して見苦しいほどジタバタする葵…


てめぇの背中がなんだって言うんだ

こんな時に本当にバカだろ、こいつ…


それよりも何かの間違いじゃなければ渚さんが郁を…

打っ…

え…

おぉ…!?


「あ、悪い…」


…は!?


意外なことは続いた

倒れている郁の肢体をなにもなかったかのように跨いだ渚が、騒ぎ立てる葵の背中を見て呟いていた


それに加えて


「だから避けろっつったろーが」

「っ、そんなの普通にムリ!!」


耳に届くそんな会話…


「目ぇ悪ぃな、コンタクト度数あってんのかよ」

「あっててもムリだし!!オレ、キアヌじゃないんだからね」


こいつらいったい…


雅には目の前のふたりのやり取りこそが意味不明だった


頭おかしいだろお前ら…!!


「ッ、う…!!」


思わずそう叫ぼうも、激痛に阻まれ腹部に力が入らない


こんな時なのに…

ベッドの上にはまだ千隼がいるのに…


それに、目の前には微動だにしない郁が…


ッ…!?

か、郁っ!?


「っ……!!」


なんっ…

え…!?


雅は思わず目を疑った


…いなかった


すぐ目の前に横たわっていたはずの郁の姿がそこになかったのだ


消えるはずなんてないのに

だって郁はたった今、渚さんに…


非常事態に重なった目の前で起こったあり得ない異変に、動きの鈍った雅の頭のなかがごちゃごちゃになる





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