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ネムリヒメ.
第24章  Get back.




しかし、そんなモノを見せられたところで、パンク寸前の雅の頭は追い付いていかないのが現実だった


「…それ、望の特注だとさ。ったく、お前らどんな遊びしてんだよ」

「…!!」


目を丸くする雅に、兄の顔をして笑ってみせる渚


特注!?

望!?

なに言って…

渚さん、笑ってる場合じゃ…

つーか、郁を殺ってナイ!?

オレ専用!?


「ホント仲いいな」

「は…」


…ってことは


「────!!」


"…お前も道連れな"

ようやく脳内の処理速度が事実に追い付いて、謎の郁の遺言のうえに、助けてくれたんだか、あわよくば流れ弾で自分も一緒に葬り去ろうと企てたんだかよくわからない望の顔が重なる

そして点が線になり、雅の頭のなかでその線があるものをかたちどった


なんでもっと早く気付かなかったんだろう…

ゾンビ化した郁を赤く染めるモノの正体に


なんで気付かなかったんだろう…

これは血じゃねぇ!!


…つーか、"改"ってなんだ!!

何を造ってんだあのガキは!!


そういや郁もそれを見るだけで蕁麻疹、口にすれば失神するほどだといつぞや漏らしていたのを思い出す

葵のカラダから漂う多量の香水の匂いで鼻がバカになっていて、さっぱり気がつかなかった


ってことで、つまりこれは…

そう確信を持った時にはすでに遅し


全身にこびりついたのおびただしい赤は間違いなく自分が世界で一番恐れるモノ




─その名は…トマト




だ!!





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