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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
郁がおとなしくなったところで非常事態なのはかわらない
まだ…千隼を取り返したことにはならない
「っ、るせぇ…な」
"オレも探すから鎮痛剤よこせ。そんでさっさとこいつをどけやがれ"
今にもそんな言葉が雅の口から飛び出そうとする
ところが、
「いいから…さ」
ッ…!?
何故かそこで急に弱まった葵の声…
その声色に雅も渚もハッとした
「文句でもいいからさ、ごめん…もうちょっと付き合ってよ…
こんなことっ、身勝手で…言う資格なんてないかもしれないけど、
…なにも話してないとオレ、気が狂いそう…で…っ」
「ッ…」
「…!!」
言葉を詰まらせ深い色に染まった瞳を揺らす葵…
「あのとき、みっくんが止めてくれなかったら…
ナギが来なかったら…ッ…、今だってオレ…っ」
「…葵」
すると、途切れ途切れになる葵の声に重ねるようにして渚の重たい声が遮った
「オレだって、わからねぇよ…
…望に釘刺されてあんなもんでも渡されてなきゃ。
後先なにも考えなくていいなら…迷わずガチでこいつを撃ってる」
「ッ……」
「………!!」
「誰だって…そいつを今すぐどうにかしてやりてぇよ。
…雅だって、ここにいない聖だって。
だけど…ッ──」
…渚が視線を向けたベッドのうえにはブランケットに包まれた千隼がいた
瞼は落ちかけてはいるが、まだまだ熱が抜けきれていないのがよくわかる