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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
このまま…
なにも考えず彼女を、この腕で壊れるほどめちゃくちゃに抱いてしまえればどんなに楽だろうか…
…触れたい
…解けない熱を融かしてやりたい
─けれど、できなかった…
今、少しでもこの手で彼女に触れてしまえば、
その途端、自分が壊すよりも先に彼女自身が粉々に砕け散ってしまいそうで…
彼らの瞳に映る彼女の姿はそれほどに儚くて脆い
ただ一刻も早く…
せめて彼女を繋ぐその冷たい呪縛から解き放ってやりたい…
そんな想いが唯一、今、彼らが彼らでいることを保つための全てだった
…しかし、
「っ…なんで見つかんねぇ…」
「みっくん、ヘアピン…」
「持ってんのお前だろ。つーか、このクソオトコがそんなんで簡単に破れる手鎖使うかよ」
前途多難…
不運にも手鎖の鍵の捜索が難航する
そしてさらに困難を極めたのは、そのオトコの用意周到さだった
ならばと思ってピッキングでの解錠を試みるも、案の定、郁のかけた鎖はヘアピンも針金も受け付けないタイプのモノ…
無理矢理突っ込んだところで鍵穴が侵入者をことごとく拒絶する
だったら最終手段…
直接口を割る
ところが、鎖をかけた張本人から鍵の在りかを聞きだそうとも、
─死人に口なし…
まるで生きる屍と化した郁は身ぐるみを剥ごうが、逆さにしようが、蹴り飛ばそうがピクリとも動かなかった