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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
…………
「あーもう若葉ちゃん、そろそろやめときなって。いくらなんでも飲み過ぎだって…これ以上兄さんを困らせたらオレもう知らないよ」
「ッ、うるさい、うるさい、うるさーい!!のんちゃんは黙っててよ!!全部渚くんがいけないの、文句なら渚くんに、っ…おかわり!!」
「はぁ………だからオレの手には終えないって言ったのに…」
物憂げな表情すら目が眩む…
所かわって、兄に倣い夜景を霞ませる美青年の長い長いため息が甲高い怒声に掻き消されたのはホテルのバーの一室だった
「アタシを泣かすなんて百年早いのに…」
「はいはい、そうだね…」
大きなピッチャーに並々と入ったブラックタピオカ入りのロイヤルミルクティを片手に、隣で文句を撒き散らす彼女に面倒そうに返事を返すのは渚の弟、望だ
雅といたときのようなふざけた様子はこれっぽっちも見せず、テーブルにガックリと額を着けながら心底項垂れる望
その隣には瞼を泣き腫らしたひとりの令嬢、若葉の姿があった
その頬はだいぶ赤く染まっている
ふたりが肩を並べるテーブルのうえには、もう何杯目かもわからない空のカクテルグラスが置かれていた
「っていうか、そんなのオレに言わないで兄さんに言ってよー。なんでオレが若葉ちゃんのお守りしなきゃなんないのー…
お陰でオレだけ蚊帳の外とか、ツマンナイ、ツマンナイ、ツマンナ…」
「言ったわよ」
「…!?」