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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
頭を掻きながら心の声を容赦なく口にする望の声をいかにも納得がいっていないという様子の若葉の声が遮る
しかし望はまったく興味がそそられない様子でピッチャーに刺したストローでタピオカを捕まえるのに夢中になっていた
「ちょっと、のんちゃん!!」
「…んー!?」
「もう、黙ってないで」
「…うーん」
「ねぇ、それで渚くんになんて言われたの!?って聞いてよ」
「えー、聞いてほしいの!?」
「ほしいの!!」
「…オレ聞きたくなぁい」
「────!!」
キーキーと隣で騒ぐ若葉をものともせず、相変わらず抜群のマイペースさを披露する望
するとそんな彼のしらっとした返事に一瞬絶句するも、すぐに若葉の指がピアスごと望の耳朶を捕まえた
「っ痛!!」
「聞ーいーて!!」
ロビーで見せていた品よく清楚な彼女の姿はどこへいったやら…
それから、充血した瞳でキッと睨む若葉に望が渋々返事を返したのはすぐのことだった
「はぁ……
…で、兄さんになんて言われたの!?」
「……なにそれ、棒読み」
「なんだ、そう言われたのか♪」
「ちょっ、違うわよ!!」
望のやる気のみられない返事にボソッとケチをつけた若葉に悪魔が憑依したような天使の笑顔が向けられる
「…で!?」
「"ワガママオンナよく聞け。お前ごときがオレに物申すのは百万年早ぇんだよ"」
「………」
「……」
「…」
ズー…
沈黙にただミルクティを吸い上げる音がする