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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
…しかし、
「兄弟揃って、とか…可愛くないなぁ、若葉ちゃん
…そんなんだからいつまでたっても進歩なしなんだよ」
「ッ…!?」
タピオカをすすりながらうっすらと口許を歪めた望に彼女はピタリと動きを止めた
美しいがどこか酷薄な頬笑みに思わず息をのむ
「そんなしょうもないこと言ってるようじゃ…」
長い睫毛の奥で妖しく細められた瞳に映った自分の姿にドキリとする
「なに…よ…」
「オレの言ってる意味わかんない!?」
「わ、かるわけないでしょ」
「………そ」
すると、そんな素っ気ない返事とともにフッと外される望の視線
それはどこか寂しそうな色を帯びていて、一瞬だが陰りを見せた望の儚い表情を若葉は自然と追ってしまう
「な…によ、そこまで言われたら気になるじゃない」
「ん、ああ…」
思わずそう返すと、今度は彼の艶のあるどこか意地悪な表情が返ってきて、思いもよらなかったその表情に無意識にもドキリとさせられてしまう
「そんなんじゃいつまでたっても貰い手がなくて、アイアンメイデンのまま化石になっちゃうよ、って話」
「アイアンメイデンって、鉄の処ジ…」
「それもただの鉄じゃなくて鋼鉄ね。あー、我ながらいい例え♪
…さっさと葵くんあたりにサクッとハメてもらえばいいのに」
「ッ────!!」
その意味をようやく理解したのか、望の声に若葉の顔がみるみる赤くなっていく
ただの赤ではない
「余計なお世話っ」
「あ、もしかしてオレがいい!?」
…それも真っ赤にだ