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ネムリヒメ.
第25章  Black Emperor.







「そんなわけないでしょ!!のんちゃんも葵くんも論外だからっ!!」

「うわ、なにそれ。傷つくなぁ…」

「あり得ないからね、もうっ!!初めては、……って決めてるんだから」

「えー、聞こえないよ。論外のオレに教えてよ」


そんなの言わなくても知ってるよー♪

そんなことを思いきり顔に描きながら、教えてよ…と若葉に向かって究極の上目遣いを繰り出す望


「だから初めては────…っ!!」


…そのときだった


「…だったら、なおさらイイコにしてないと」


─ドサッ…


「へ…!?」


突然、座っていたソファーのうえで大きく反転する彼女の視界

背中を冷たい革に押し付けられ、音をたてて倒れ込むと瞬く間にその場に組み敷かれてしまう

そしてわけのわからないまま瞳を見開き固まる彼女の視線の先を誰かが遮るのだが、

それが望ではないことだけは確かだった


「ねぇ…ちょっとおいたが過ぎるんじゃない」

「ッ…!?」


殺気を纏うようなその声に、それが誰かと認識する前に背中を変な汗が伝っていく


「はぁ…すごい探したんだけど…望、携帯切られてるよ」

「え…なん…ッ…!?」


よほど急いできたのか、彼にそう指摘をする人物はだいぶ息を弾ませている

そしてふわりと立ち込めた甘い香りに若葉がうっすらと目を開く

と…


「…こんばんわ、お転婆娘の若葉ちゃん」


彼女を見下ろし、そう呟いてたのはゾクリとするような笑わない栗色の瞳だった





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