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ネムリヒメ.
第25章  Black Emperor.







「………ない」


若葉のすべての身ぐるみを剥いだ聖は彼女に向かってそう溢していた

唖然とした表情と皿のように見開かれる栗色の瞳…

それは柄にもなくポツリと弱々しい声だった













─だーけーど…♪









このときオレの内心は、思いきり曇らせた表情とは裏腹に、腹黒く笑っていた


…黙ったまま、探しているモノが見つからないと困惑するオレの表情を伺う若葉ちゃん


オレなんかに呆気なく全部脱がされて、そんな顔してなに考えてるの!?

気づかないだろうけど、口許…嬉しそうに歪んでるから…


それに、

─オレが本当に暴きたいモノはそんなモノじゃないんだよ…


「………」


渚くんも言ってたでしょ

"ひんむけ"って


でも、ほら…

ヒトコトにそういっても、ひんむくって色々あるじゃん!?

ホント日本語って面白いよね


…あぁ、要するに

このオレがなにが悲しくてちーちゃん以外の裸なんて拝んでるかっていうとね…


「…それで!?」

「……!!」


オレも渚くんも、ひんむきたいのは身ぐるみなんかじゃないってコト…


「あとはどこを探せばいいの。全部脱がせたのに、探し物が見当たらないんだけど…

濡れてない"ここ"に指突っ込めばいい!?」

「……!!」


─それはね、いつまでもか弱く純情ぶってるその化けの皮だよ…


突然にんまりと表情を一変させたオレの言葉に、彼女の顔から一気に血の気が失せた





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