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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
あ…マジか……
特にオレたちを気にする様子もなく、明後日の方を向いて読書中とか
しかもそれ、オレの読みたいヤツだ
「…望、それ何巻!?」
「んー!?明日発売の最新刊ー…をオトナの事情でフライングゲット」
「へぇ♪じゃあ、あとで貸してよ」
「うーん、じゃあ頑張って読むからそれ以上騒がないでね。あんまりうるさいと、オレも若葉ちゃんは論外だから聖くんにオレのマグナムぶちこむよ」
「あはっ♪それは若葉ちゃん次第だよ」
こんな笑えない状況で笑えない冗談を平気でかます望の機嫌を損ねないように再び若葉ちゃんと向き合うオレ
「ねぇ、これって…脅し!?
だったらもれなく"そいつは脅しの道具じゃねェんだよ"って、かの有名な赤髪の船長に言われるけど…
あぁ、もちろんそんな彼をこよなく愛する望にも♪」
「ッ…うるさい!!黙りなさいよ、自分の置かれてる状況わかって言ってるの」
「知ってるよ♪」
ちっとも怯まないオレに彼女の機嫌が悪化するのは当たり前だ
─カチャ…
額のすぐそばで嫌な音をたてる彼女の手…
オレと望の至って真面目なやり取りが、若葉ちゃんの神経を逆撫するのは承知の上だった
だけど、逆に望を怒らせるよりはよっぽどいい
なんたって、魔王の弟は魔王よりよっぽど怖いから
だってほら…
「あーそうだ、若葉ちゃんにこれ返すの忘れてたぁ…」
手にしたマンガの単行本に目を落としたままやる気のない声をあげ、なぜか急にジャケットのポケットをまさぐる望