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ネムリヒメ.
第25章 Black Emperor.
「なんたって、いつも傲慢不遜で高飛車な若葉ちゃんだもんね。どんなに間違っても自分の口からそんなコト言えるわけないのに…ゴメンね、気が利かなくて♪」
「…なに、よ…それ」
「え!?なにって、オレなりの最大級の労いの言葉に決まってるじゃん」
…なんちゃって、こんなのただの侮辱の他のなにものでもないけど♪
「アハッ、なにもかもその通りじゃん」
冷たく笑うオレの笑わない視線の先で、明らかに若葉ちゃんは動揺していた
「ど…ッ、して」
改めてオレの手のなかに視線を釘付けにされる若葉ちゃん
…それもそのはず♪
だってオレが彼女に見せたのは、本来ここにあるはずのないモノだもんね
「…オレははじめから、ずっと持ってたよ♪」
"コレ"…
─ちーちゃんの手錠のカギ。
「しかも若葉ちゃんってば、ただ渚くんに泣かされて相手にしてもらえないってだけでさ…
コレ、知らないオジサンにあげちゃうんだもん。ホントびっくりだよね」
「ッ…!!」
本来オレが手にしてるはずのないそれと、絶対に本人にしか知り得ないはずの事情に、度肝を抜かれ顔面蒼白、言葉を失う彼女
「…だけど、オレは持ってる。アハッ、なんでだろうね♪
それよりも脱がされ損の意味、これでわかってくれた!?」
身ぐるみ剥いだってこれじゃ出てくるワケがないよね
郁くんがこの鍵を彼女に持たせたって読みは正解だったのに、若葉ちゃんってば得意の身勝手な出来心でどっかの誰かにあげちゃうだもん