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ネムリヒメ.
第26章  夜明け.





大なり小なり若葉がなにかやらかしたか…

無論、彼女の携帯電話も鳴らせど、うんでもなければすんでもない、梨の礫だった

なにはともあれ望ならなんの心配もないだろうが、自分たちにとっては状況が状況だけにこのタイミングは不都合極まりない

望が鍵への最短ルートなのに…

焦りと不安が助長させられ、嫌な気しかしない

思わず渚が悪態をついた


望がダメなら頼らざるを得なくなるのは、今動けるもう一人のつてだった

それは最悪な状況下で気転を聞かせ、葵をここによこした聖だ

聖なら…

雅が咄嗟に、吐き気のしそうな現場にいるであろう聖の携帯を鳴らした


幸い、聖とは連絡をとることができた

テンパり過ぎて会話がままならなかったものの、渚が一部始終を聖に伝える


渚の言葉に落胆する聖…

その様子は電話越しでも痛いくらい全員に伝わるものだった

それから少しの間をおいて、聖からふたつ返事が返ってくる


望と若葉のところには聖が行ってくれる

これで鍵が…

早く彼女を、千隼を解き放って楽にしてやりたい

…重たい沈黙に甘く荒い息遣いだけが響く空間の一分一秒がやけに長い

その空間にいる全員がどうにもならない葛藤で、どうにかなってしまいそうだった


そんな矢先だった

けたたましく部屋のチャイムが鳴るやいなや、エントランスの扉が乱暴に開く音がする

ここに入れるのは聖か望ぐらいで、しかし今はどっちもあり得ない状況なのに!?





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