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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
「…っ、クソッ……!!」
雅は衝動的にそう吐き捨てると、乱暴に千隼の唇を塞いだ
髪を撫でていたその手で彼女の後頭部を抑えつけ、唇を割る悩ましげな声を吐息ごと奪いつくすように口づける
感情の堰を切ったような…
だけどそれをどこか押し殺すような口づけ
熱に犯された彼女の甘い唇も待ちわびていたかのようにそれを受け入れ、
それは激しくて、だけど必死に何かを埋めようとする言葉のない時間だった
ただ…
熱に犯され続けていた彼女のカラダは、悲しいほど快楽に従順だった
その口内は蕩けるように熱く、絡み付く吐息がその先を煽るように求めてくる
なにかにとりつかれたように、どこまでも快楽を渇望し続ける瞳
彼女の肉体は自分ではもうまともに動くことすらままならないほど果てているはずなのに…
求められているのは誰でもない自分なのに…
深く傷つきながらも艶やかな色を帯び続けるその瞳に、姿を映されながら雅の胸は酷く抉られた
こんなに近くにいるのに…
腕のなかにいるはずの彼女との距離がまるで永遠を見ているかのようにものすごく遠くて
吐息が絡む度に胸を覆い尽くしていく宛のない焦燥感に喉元がギリギリと締め上げられていく
「…千隼…っ…」
ようやく絞り出した途切れそうな声も彼女の吐息にあっという間に浚われていく
雅がもがけばもがくほど、その距離はあまりにも近くて、遠くなる