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ネムリヒメ.
第26章  夜明け.







すると、


「つーか、いつまでも見てないでテメェも名乗れよ。クソ女医が!!」


そんな彼女とアタシの視線のやり取りに気づいたのか、堂々と横槍を入れてくる未だ悶絶中の雅くん


が、


「──────!!!」


…再び悶絶

よく見れば艶のあるピンヒールに踏みつけられる彼の足


「………」


あ…ははは、はは…

もはやこれは黙るしかない

瞬時にアタシはそう察知する


しかし、次の瞬間…


「あ───、もうっ♡可愛いっ♡♡♡合格っ♪もれなく千隼チャンを葵のお嫁さんにしてあげる♡」

「へ………」


なぜか絶句するアタシを両腕でこれでもかと抱き締めるお姉さま


「偉いわ。ちゃんとご挨拶もできるし…最近多いのよね、そういうのまったく出来ないコ」

「ババクサ…小姑か、テメェは」

「お黙りっ!!」


合格とか…

お嫁さんとか…

ご挨拶とか、アタシは別になにも…


「あ…えっと…」

「あはっ、葵くんのお嫁さんってのは聞き捨てならないけど、よかったね♪ちーちゃん。初対面で瑠美サンのお眼鏡に叶ったみたいだよ」

「これで我が家も安泰ねー♡♡♡くれぐれも渚になんて持っていかれるんじゃないわよ」

「えー、瑠美サン。そこにオレも入ってるんだけどなぁ」

「………」


って、もしやこのお姉さまは…

この超絶美人な爽やかな風を吹かせるこのお姉さまは…


正真正銘の…


「早乙女 瑠美です♡

ムダにできのいい弟の葵がお世話になってるわね♡」



葵くんのお姉さま─────!!?






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