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ネムリヒメ.
第26章 夜明け.
「郁くんが出たら完全にアウト…」
何かただならぬ気配を察知したのか、アタシの隣に控える渚くんに目配せる聖参謀
「…まぁ、葵くんでも勿論アウトなんだけど♪」
続いてアタシへと向けられた彼の瞳は、愉快に笑っていながらも"そのまま動くな"とハッキリと事を告げている
妙に張りつめていく空気に次第に走り出す緊張感…
「年に2回は必ず行くからね、お墓参り♪」
「あ、のな…」
それは、聖くんのタチの悪い冗談にもさほど言い返さなくなった雅くんの様からもありありと伝わってきて
扉1枚違うだけで、こんなにも空気が変わるなんて…
「では雅隊員、次の扉に逝ってみよー♪」
背中越しに雅くんにGOサインを飛ばした聖くんの手がそこでやんわりとほどかれて、その分渚くんが握っている手に力を込めてくれる
「心配すんな」
その声はアタシの不安を和らげてくれるものだ
「オレとお前のデートでプラス1回な」
「え…」
「墓参り」
………、
…ハッ!!
「………」
ゴメンなさい、雅くん
緊張のあまりに咄嗟に頷いていたことに気づいた時にはすでに遅かった
「…だとさ。オレたちの貴重な時間をお前に割いてやる。心置きなく逝け」
アタシを安堵感で包み込む者の正体は悪魔より酷な魔王様
「覚えてろよ…」
「ってことで、ドーン♪」
ボソリと呟きこちらを見やった雅くんと視線が絡んで、顎でしゃくった渚くんに聖くんがオープン・ザ・ドア♪
すると、そこには…