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やらし恥ずかし夏休みバイト
第5章 マジシャンの助手
 8月初旬の青空に包まれて、快適な空の旅を続ける飛行機内に朱里はいた。
 旅行に出かけるわけではない。
 なんと、今回、朱里が採用されたバイトは、業務が海外にて行われるものだったのだ。
 バイトで海外、というのは世にも珍しい状況ではあったが、朱里はあまりそういうことを深く気にするタイプではないらしい。
 求人広告に書かれていた職名は「マジシャンの助手」で、会社名は「艶魔術社」という朱里が聞いたことのないものだった。
 艶魔術社とは、どうやらマジックショーを運営したり、マジシャンの派遣業務を行ったり、といったことを基本業務としている会社だという話だ。
 その「2泊3日で給与50万円支給」という信じがたい好待遇に、応募を即決した朱里。
 前回の帰り道では、「もう高時給の怪しいバイトはしない」といった旨の発言をしていたはずだが、この破格の条件を見て、その誘惑に朱里は屈したのだった。
 それでも、若干の怪しさは感じつつ。
 他の者からすれば、「若干」どころの騒ぎではないのだが。
 しかも、朱里の応募への決心を後押しするかのごとく、その条件にはまだ続きがあって、「飛行機代、食事代、宿泊代、その他現場での経費は全て艶魔術社が負担」「2泊3日だが、マジックショーの出演時間は40分で、練習とリハーサルを合わせても実質3時間以内。それ以外の時間は自由行動」「業務は決して難しくなく、当日でも簡単に覚えられる」などと書かれていた。
 応募資格も「18歳から25歳くらいまでの女性」「経験不問、未経験者大歓迎!」「やる気のある方、笑顔を絶やさない方を募集いたします!」とあり、18歳で未経験ながら、やる気と元気には自信がある朱里にとってはぴったりの内容に思えたのだ。


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