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やらし恥ずかし夏休みバイト
第5章 マジシャンの助手
 ドアがノックされる音が聞こえ、朱里はビクッとした。
 しかし、ポロリは動じる様子もなく、「あ、スタッフかな」と呟くと、駅弁スタイルで朱里と繋がったまま、応対しようとドアへと向かう。
「あんっ! ポ、ポロリさぁん、ダメ! やぁん! 人に見られちゃう!」
「妻としているときも、しょっちゅうこういうことがございます。ごくごく普通のことなので、大丈夫ですよ」
 朱里にとっては、決して普通ではないし、大丈夫な話でもない。
「ああんっ……ダメですっ!」
 ずちゃっ! ばっちゅん!
 腰を激しく打ちつけ、朱里をよがらせたまま、ポロリはドア前まで歩いていく。
「はーい。どちら様で?」
 ポロリがドアに向かって尋ねると、答えが帰って来た。
「プロペラです。こんにちは」
「おお! プロペラペペロンさん! 今、開けますね」
 パンパンと激しく腰を朱里にぶつけながら、ポロリが言う。
「ひゃんっ……あぁぁん! だめぇ! 開けちゃ嫌!」
「プロペラさんは日本好きのいい人ですし、すっごく紳士ですから大丈夫ですよ。ご安心ください、マドモアゼル」 
「で、でもぉ……!」
 そしてポロリは、朱里の抗議に耳を貸さずにドアを開ける。
「あぁんっ! い、いやぁぁん! やだぁぁ!」
 ドアの外には、金髪で青い目をした紳士が立っていた。
 年齢は30代くらいにみえる。
 この人物がプロペラペペロンで、ポロリの友人だ。
 日本好きのイタリア系アメリカ人で、流暢な日本語を話すことができる。
 ポロリと話すときは、主に日本語と英語がよく使われていた。
 ちなみに名前の由来は、彼がステージ上で行う得意技と好物から取られている。
 シンボルにトランプを貼り付けて高速でプロペラのように回す技と、好物であるペペロンチーノから。

 ポロリと朱里が激しく交合している様を、いきなり目にしたわけだが、プロペラには少しも驚いた様子も当惑した様子もない。
 恐らく、ポロリのさっきの話から察するに、ポロリと妻が性交しているところをプロペラも見たことが何度もあるのだろう。
 それに、彼もまたセクシーマジックショー常連なので、当然か。
 プロペラも今夜のショーでいつも通り、助手であり恋人でもある女性と、ステージ上で愛を交わす予定だった。


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