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やらし恥ずかし夏休みバイト
第5章 マジシャンの助手
「あの時は、『深い意味はない』とお答えいたしましたが、全く意味がないわけではなかったのですよ。あの質問にマドモアゼルは、『どちらも大好き』と答えられた後、実家で犬を飼われているお話や、ご親戚の赤ちゃんの面倒をみられたお話をしてくださいましたよね。あのやり取りで、私は確信したのですよ。マドモアゼル朱里は良い人だ、と。何せ、動物と子供が両方好きな人に、悪い人はいませんから。もちろん、『すごく良い人だが、動物も子供も苦手』という方はいらっしゃいますでしょう。しかし、その逆はほぼあり得ませんよ。『動物も子供も大好きだが、性格が悪い人』はね」
「そういうものなんですか……。私って、あんまり良い人じゃない気がしますけど……」
「いえいえ、マドモアゼルはすごく良い人ですよ! こうして我々を手助けし、ショーを成功に導いてくださいましたし。そういうわけで、そんな『良い人』なマドモアゼルに、もう一度オファーさせていただきますね。どうでしょう、今後もご参加いただくことにつきましては?」
「だーかーらー! さっき、きっぱりとお断りしたじゃないですかぁ! 話をすぐにそっちへ持っていかないでくださぁい!」
 呆れて笑いながら、ポロリにツッコミを入れる朱里。
「これは本当に残念……。でも、気が向いたら、またご連絡くださいな。艶魔術社の社員一同、大歓迎ですぞ!」
「気が向くことは金輪際ありませんからっ!」
 朱里は微笑を浮かべつつも、しっかりと言い切った。
 ポロリも釣られて笑いながら、「残念ですなぁ」などと言っている。
 朱里たち一行を乗せた飛行機は、蒸し暑い真夏の夜空を、一直線に日本を目指して飛んでいった。



                ■ 第5章 おわり ■


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