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やらし恥ずかし夏休みバイト
第2章 下着モデル
 挨拶のため、撮影していた場所に戻ってみると、まるで何事もなかったかのように、スタッフたちが微笑しながら並び、朱里を待っていた。
 ズボンのふくらみも、全員すっかりおさまったようだ。
 山里もまた、すっかり平常通りの出で立ちへと戻っていた。
「本日はお疲れ様でした。次回もよろしくお願いいたしますね」
 平然と言う山里。
 しかし、朱里の心はすでに決まっていた。
「あの……。私としましては、今回で最後ということにしたくて……」
 やや言いにくそうに朱里が言う。
「ええっ?! ど、どうしてですか?!」
 目を見開いて、後ずさりする山里。
 わざとらしい、非常にわざとらしい……と朱里は思った。
「ちょっと~。当たり前じゃないですか! あんなことをされて……」
「了解いたしました。お給金は後日、ご指定の口座に入金させていただきますので、ご確認ください。本日はどうもありがとうございました」
「は、はい……。ありがとうございました」
 すんなり認めてもらえて、少し拍子抜けの朱里。
 山里さんは見た目どおりに根は良い人なのかも、と朱里は思った。
「それでは、失礼いたします」
 そう言って、立ち去ろうとする朱里を、「あ、それから……」と言って呼び止める山里。
「面接のときにお渡しした名刺に、私の連絡先が書いてあります。春日井さんが個人的に、今日のおまじないを再び施してほしくなられた際には、是非ご連絡を……」
「あり得ませんからっ! もう~、『ホントは良い人かも』って思ってたのに、やっぱり変な人じゃないですか!」
 呆れて言う朱里。
 山里はまたわざとらしく後ずさりしながら言った。
「これはこれは。変な人とは……言いえて妙、ですね。ご連絡お待ちしておりますよ」
「だから、連絡しませんって! さよなら!」
 そう言い放つと、朱里は足早に撮影現場の部屋を出ていったのだった。



               ■ 第2章 おわり ■


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