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淫らデッサンに疼く人妻
第17章 佐夜香と衛一
佐夜香の部屋の中も、アパート外観と同じく、ごくごく普通だった。
玄関に掛けられている時計がウサギの形だったり、リビングにあるカレンダーにネコが写っていたり、そうしたところには、この部屋の主である佐夜香の趣味が現れていたが。
そして、ハッと気づく衛一。
「あ……。妻がいるのに、他の女性の部屋へ入るのは、まずかった気が……」
ついさっきまで、佐夜香の言う「お礼」に、よからぬ想像をしていたはずなのに、こんなことを突然心配する衛一。
佐夜香は屈託なく笑って、手を振った。
「大丈夫ですってば。さっき、描いてくださった絵、今もお持ちなんでしょ?」
突然、話題がデッサンへと戻り、きょとんとする衛一が答える。
「ええ、持ってますが」
「ここへ来られた理由は、デッサンの続きをするため……ってことにしておきましょうよ。アトリエだと時間も限られていますしね」
「は、はぁ……そうですね」
そんな、こじつけのような理由を捏造して大丈夫なものかと、衛一はますます心配になる。
佐夜香の方は、相変わらず陽気な調子で「では、ちょっと待っててくださいね」と言うと、キッチンへと向かった。
衛一がそちらへ目を向けると、佐夜香は冷蔵庫から何かを取り出している。
目を凝らして見てみると、どうやら小さな袋のようなものだ。
手乗りサイズのそれを右手に取ると、冷蔵庫のドアを閉め、佐夜香が戻ってきた。
「これ、私が焼いたクッキーなんですよ。昨日の余り物なんですけど、よかったらって思って」
そう言って、小さな袋を衛一に渡す佐夜香。
「え? 俺がもらっても、いいんですか?」
「ええ、もちろん」
佐夜香は笑顔で頷く。
「その……失礼ですが……。佐夜香さんって、交際されている方は……?」
恐る恐る尋ねる衛一。
「彼氏とは先週、別れちゃいました。親友にはもう渡しましたし、食べてもらう人もいなくて」
「じゃ、じゃあ……いただきますね。ここで食べてもいいんですか?」
「もちろんです。どうぞどうぞ」
衛一は封を開け、クッキーを一つつまみ出す。
五百円玉くらいのサイズのその小さなクッキーは、見るからに美味しそうだった。
玄関に掛けられている時計がウサギの形だったり、リビングにあるカレンダーにネコが写っていたり、そうしたところには、この部屋の主である佐夜香の趣味が現れていたが。
そして、ハッと気づく衛一。
「あ……。妻がいるのに、他の女性の部屋へ入るのは、まずかった気が……」
ついさっきまで、佐夜香の言う「お礼」に、よからぬ想像をしていたはずなのに、こんなことを突然心配する衛一。
佐夜香は屈託なく笑って、手を振った。
「大丈夫ですってば。さっき、描いてくださった絵、今もお持ちなんでしょ?」
突然、話題がデッサンへと戻り、きょとんとする衛一が答える。
「ええ、持ってますが」
「ここへ来られた理由は、デッサンの続きをするため……ってことにしておきましょうよ。アトリエだと時間も限られていますしね」
「は、はぁ……そうですね」
そんな、こじつけのような理由を捏造して大丈夫なものかと、衛一はますます心配になる。
佐夜香の方は、相変わらず陽気な調子で「では、ちょっと待っててくださいね」と言うと、キッチンへと向かった。
衛一がそちらへ目を向けると、佐夜香は冷蔵庫から何かを取り出している。
目を凝らして見てみると、どうやら小さな袋のようなものだ。
手乗りサイズのそれを右手に取ると、冷蔵庫のドアを閉め、佐夜香が戻ってきた。
「これ、私が焼いたクッキーなんですよ。昨日の余り物なんですけど、よかったらって思って」
そう言って、小さな袋を衛一に渡す佐夜香。
「え? 俺がもらっても、いいんですか?」
「ええ、もちろん」
佐夜香は笑顔で頷く。
「その……失礼ですが……。佐夜香さんって、交際されている方は……?」
恐る恐る尋ねる衛一。
「彼氏とは先週、別れちゃいました。親友にはもう渡しましたし、食べてもらう人もいなくて」
「じゃ、じゃあ……いただきますね。ここで食べてもいいんですか?」
「もちろんです。どうぞどうぞ」
衛一は封を開け、クッキーを一つつまみ出す。
五百円玉くらいのサイズのその小さなクッキーは、見るからに美味しそうだった。