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淫らデッサンに疼く人妻
第22章 電話
「えっとぉ……所長からだけでなく、初対面の男の人にまで、身体を触られちゃって……」
「ええ?! もしかして、あのお弟子さんたち?!」
「んっと、弟子の人たちじゃなくて、デッサン初心者の人が来てたんだよぉ。その人に、その……触られて……」
「そうだったんだ……。美雪、辛かったでしょ……。それで、私のことを心配して、連絡をくれたんだね……」
 茜の声は震えている。
 美雪は心が痛かった。
 今日の出来事を激しく後悔し、せめてもの罪滅ぼしにと、美雪は力説する。
「ありがと! 別にショックを受けたってほどじゃないし、私は大丈夫! こういうこともあるんだぁ、ってくらいしか思ってないよ。でもね、茜はそういうわけにはいかないじゃん? きっとショックを受けると思って。だから、もうアトリエでのモデルはやめておこうよ。お互い、教室でのモデルだけにすれば、そんな困ったことも起こんないしさ」
「うん、分かった。次回の予約、キャンセルしておくね」
 茜はすぐにそう答えた。
 安堵する美雪。
 美雪は、「もしかしたら、このままだと茜と衛一がアトリエで鉢合わせになるのでは」と思い、それを恐れていたのだった。
 心の荷が下りた美雪が言う。
「うん、それがいいね。こんな変なお仕事を勧めちゃってごめん……。いい刺激になるかな、って思ったんだ……」
「美雪は何も気にする必要はないよ。やろう、って決めたのは私だからね。それに、私は後悔してないから。このお仕事を知らないままだったら、きっと退屈で退屈でどうしようもなかったし……」
「そう言ってもらえると助かるよ~」
 心から言う美雪。
 それからは、いつものようにたわいもないおしゃべりへと移っていった。


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