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淫らデッサンに疼く人妻
第23章 最後のデッサン
 案内した一室で茜が着替え終わり、バスローブを羽織って出てくると、廊下で待っていた近崎が「では、まいりましょうか」と言い、先頭に立って階段を下りてゆく。
 そして、茜をつれてアトリエのドア前まで来ると、近崎が言った。
「本日は、ここで目隠しをされませんか? いきなり大勢の前に立たれるのは緊張なさるでしょうし」
「え? ここでですか?」
 少し驚いた様子の茜。
 別に室内に入ってからでも、目隠しするのは遅くないので、当然だ。
 もちろん、近崎の言う「大勢の」というのは嘘なのだが。
 今アトリエにいるのは衛一だけなので。
 近崎はあくまで自然な口調を心がけて、説明した。
「いつも最初の一瞬だけだと思うんですよ、緊張されたり恥ずかしく思われたりするのは。なので、最初から目隠しをしておいて、慣れてこられた頃合(ころあい)に外した方がよいかと思いまして。いかがでしょう」
 茜は複雑そうな表情だったが、しばし考えてから答えた。
「近崎さんが、その方がよいとおっしゃるのであれば、従います。ただ……お電話でも申し上げました通り……他の方が私に触れられたりするのは……」
「そんなことにはならないとお約束いたします」
 近崎は言い切ると、アイマスクを取り出した。
 茜は黙って顔を差し出し、アイマスクを装着されることに。
 しっかりと装着してから、茜の手を引いて近崎は言った。
「では、アトリエに入りましょう。こちらです」
 近崎はドアを開けると、まず自らがアトリエ内に入り、そのすぐ後に茜を招き入れた。
 衛一が座って待っているアトリエ内へと。


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