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淫らデッサンに疼く人妻
第6章 面接と実技
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 やがて決心をつけた茜はバスローブ姿で更衣室から廊下へ出ると、人目を気にしてきょろきょろ見回す。
 そして、何かに追われるかのごとく、一目散に教室のドアへ駆け寄った。
 ところが、いざノックをしようという段になって、またしても躊躇が茜を襲う。
 何度かドアノブを撫でながら、じっくり決心を再び固めていった。
 そして―――。
 コンコンコン。
 三度ノックすると、中から近崎が「どうぞ」と答えてくれた。
 茜は「失礼します」と声まで震わせて言うと、ぎこちない動作でドアを開け、教室内へと身体を滑り込ませる。
 そして、引き続き挙動不審な様子で、後ろ手にドアを閉めた。

「それでは、よろしくお願いいたしますね。こちらへどうぞ」
 バスローブ姿の茜を見ても、眉一つ動かさずに平静を保っている様子の近崎が言った。
 茜の身体は、さっきほどではないにしても、微妙に震え続けている。
 しかし、立ち止まってても恥ずかしさが解消されるはずがないのは明白なので、茜はゆっくりモデル台へと歩き出した。
 すでに、茜の額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「実際にモデルをしていただく状況に少しでも近づけるために、私はいつも通りにデッサンをさせていただきますね」
 モデル台に立った茜のすぐそばに立ちながら、やや離れたところにある椅子を右手で指し示し、近崎は言った。
 椅子の手前には、すでにイーゼルが立てかけられている。
 すでにデッサンの準備は万全のようだ。
 この光景が少しだけ茜の緊張を緩めた。
 真面目にデッサンをしてくれようとしている、ということが。
 また、近崎の態度が、全く平常時と変わらないことも、茜を安心させる。
 なので、「では、そろそろ始めましょうか」という近崎の言葉とほぼ同時に、茜は思い切ってバスローブを素早く脱ぎ去ることができた。


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