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淫らデッサンに疼く人妻
第9章 茜、初めてのアトリエモデルに
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 駅で茜を見送り、再び自宅へ引き返す近崎。
 その胸裏には、歓喜と感激、それといくばくかの驚嘆が渦巻いていた。
 何気ない風を装って、帰り道を歩いてはいた近崎だが、その心の中は決して平静ではない。
 まさか、これほどまでに早く、茜との関係が進展するとは、近崎本人も予測していなかった。

 自宅へ帰りつき、一人でアトリエへと入る近崎。
 先ほどまで、この部屋に茜がいたのだ。
 一糸まとわぬ裸体を晒して。
「次は……最後までやることになるかな」
 近崎はひとりごち、いつもの椅子へと腰掛ける。
 近崎としては、今日のうちに性交してしまうことも可能だと見ていた。
 自重した理由はただ一つ、「いくらなんでも、アトリエモデル初回で性交してしまうのは、時期尚早ではないか」と思ったからだ。
「うん……。次回以降がいいな。今日いきなりヤられてしまうと、茜さんは僕に対して不信感を抱いてしまうだろうし」
 そう言いながら画用紙を眺める近崎。
 それはほぼ白紙同然といっても差し支えない状態だった。
 興奮と情欲に目がくらみ、デッサンどころではなかったのだ。
「ふっ。僕は画家としての素養が欠けているな」
 近崎は自嘲気味に呟く。
 実質そうかもしれないのだが、しかしそれにしても、彼の描く絵が人の心を打つことがあるということもまた事実だった。
「次は美雪ちゃんだ……」
 美雪の身体を思い出す近崎。
 それだけでむくむくと起き上がってくるシンボルへと視線を落としつつ、近崎はしばし黙りこくっていた。


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