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淫らデッサンに疼く人妻
第2章 デッサンモデルへの誘い
「衛一さんがいなくて、寂しいでしょ?」
 通い慣れたカフェの席に落ち着くと、美雪が切り出した。
「そりゃ、寂しいよ。すごく」
「私の場合は、普通に普段から別居中だから、茜の場合とはちょっと事情が違うけども、私も寂しくてね」
 美雪は茜と同い年だが、もう1年以上も前から夫である三郎と別居しているようだ。
 茜夫婦と同じく子供もいないのだが、すぐに離婚するつもりはないと美雪は断言していた。
 何でも、「何か新しい仕事を見つけて、それが軌道に乗ってきたら離婚する」という気持ちらしい。
「美雪のとこも大変だよね……」
 しみじみ茜がそう言ったところで、ウェイトレスがアイスティーを運んできてくれた。
 それに口をつける茜。
「まぁね。だけど、最近、すごくいいお仕事を見つけちゃった。これだけで生活していくのは絶対無理だから、離婚へ向けての第一歩にならないのは確実なんだけど……いわば趣味の延長だね。趣味の感覚で、お給料がもらえるんだから、すっごくテンション上がるよ。楽しいし!」
「どんなお仕事?」
「それを茜に教えたくて、今日は早速会いに来たんだよ。ちょうど都合が良いことに、この後すぐ、その仕事場へお給料を受け取りにいくから。茜も話だけでも聞きにくればどうかな、と思って」
 相手の質問に対し、すぐにはっきり答えないことがしょっちゅうなのは、美雪のいつもの癖だ。
 親しく付き合っている茜にとってはもう慣れっこのことなので、驚いたり気を悪くしたりすることは一切ない。
 なので、全く気にすることもなく、同じ質問を再度ぶつける茜。
「それって、どんなお仕事なの? 教えてくれるかな」
「デッサンモデル」
 美雪の答えに、茜はちょっと驚いた。
 デッサンモデルについては、多少だが聞き知っていることもあったので。


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