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淫らデッサンに疼く人妻
第13章 衛一の衝動
「え? ヌード? いいのか?」
「いいも悪いも、俺が口出しする権利はないからな。戸籍上は夫婦だし、美雪にあの一軒家をそのまま使わせてやってるし、いまだに美雪に仕送りもしているけれど、さっきも言ったように俺たちは既に終わってるから。美雪の好きにさせてやった方がいいだろ。恋愛感情はお互いもはや全くないんだけど、いまだに友情は続いているからな。いっそのこと、一思いに離婚しちまえば、意外と親しい友人にまた戻るかも。実際、俺の仕事が落ち着いてきたら、そうしようかという相談は、美雪ともしてるよ」
「そっか……」
 思わず美雪の裸を想像してしまう衛一。
 大勢の男の前で、裸身を惜しげもなく見せつける美雪を。
 大学時代から、サークル仲間の茜、三郎、美雪と大変仲が良く、しょっちゅう四人で遊びにいっていた衛一だったが、言うまでもなく、この三人のうち美雪の裸だけは見たことがなかった。
 三郎とは男同士で旅館の温泉につかったり、サウナへ行ったりしたことがあるものの。
 もちろん、茜への深い愛は揺るがないし、美雪に対して同じような気持ちを持っているわけでは毛頭ないのだが、「美雪のルックスは可愛い」ということは、衛一もはっきり認めていた。
 衛一に言わせると、「茜ほどではないが」という前置きは付くのだが、それでも可愛いと思っていることに変わりはない。
 そして、そんな美雪の裸を「見たいか、見たくないか」と聞かれると、「見たい」と即答せざるを得ない衛一。
 四人でプールや海へと行った際に、美雪のビキニ姿は何度か見たことがあるので、衛一はそれを自然と思い浮かべる。
 途端に、その頭に浮かぶ映像の中で、美雪の隣に笑顔の茜が登場し、強烈な罪悪感が衛一を襲った。
「美雪も俺も楽しくやってるんだから、そんな暗い顔をするなって。これから、時間ある? 久しぶりに飲みに行かない?」
 自分たち夫婦の関係について、衛一が心配してくれていると勘違いしたらしく、三郎は元気付けるかのように衛一の肩に手を置いて言った。
「ああ、これから帰るところだから、問題ないし行こうか。ちょっと待ってくれよ。茜にメールだけしておく。帰りが遅いと、心配をかけるからな」
 そう言ってスマホを取り出す衛一。
 茜にメールで連絡した後、衛一は三郎と一緒に、三郎行きつけの飲食店へと向かった。


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