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淫らデッサンに疼く人妻
第13章 衛一の衝動
「ただいま~」
 玄関のドアを開け、衛一が言った。
 三郎と一緒にかなり飲んだので、足元はややおぼつかない。
「おかえりなさ~い。もう~、飲みすぎはよくないのに」
 茜が出てきて言う。
「仕方ないだろ。三郎と会うのは久々なんだから」
「三郎君、元気だった?」
「うん、元気そうだったよ。茜も知ってるかと思うけど……。残念ながら美雪との夫婦関係は終わってしまってるらしいけどね」
 靴を脱ぎながら、衛一が言う
「うん、美雪から聞いてるよ……」
「二人をよく知ってて、結婚式にも出席した俺たちからしても、本当に残念なことだよなぁ」
 リビングに入りながら、話し続ける茜と衛一。
「でも、俺たちはずっとずっと仲良くしような」
 言いながら、衛一は茜を抱きしめた。
「ちょっと~。お酒くさいよ~」
「いいじゃないか、ちょっとぐらい。じゃあ、ご飯にするか。茜、待っててくれたんだろ。一緒に食べよう」
 二人は晩御飯を食べることにした。



「あなた、おやすみなさい」
「おやすみ、茜」
 やがて寝る時刻が来て、二人はベッドに入る。
 衛一が電気を消した。

 真っ暗になると、途端に三郎の話が頭に甦ってくる衛一。
 ヌードデッサンモデルのことと、それに挑戦している美雪のことが。
 三郎は確か「近所の絵画教室」と言っていたな、と衛一は思い返す。
 その後、衛一は飲食店で飲んでいる途中も、それとなく探りを入れてみたものの、三郎もどうやらそれ以上のことは知らないらしかった。
 もはや衛一の「美雪の裸が見たい」という思いは、抑えが利かないほどになっている。
 今、すぐ隣で寝ている茜のことを思うと後ろめたさで胸が痛んだが、その痛みすらかき消すほどに。
 それにまた、「別に何らやましいところはない。浮気でも何でもなく、ただただ裸が見たいだけだから」と、開き直ったかのような気持ちも湧いている衛一。
 衛一は、「そう、何も浮気をしようとしているわけではないのだ。一度、見てしまえば、もう満足できるから、こんな焦がれるような気持ちともおさらばだ」と自分に言い聞かせ、目を閉じる。
 しかし、それから後も、美雪の姿が頭に浮かんできて、衛一はなかなか寝付けなかった。


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