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あたしに全部見せなさいっ!
第2章 紙とインクに発情中っ!
「珍しいね。今日は彼氏と食べないの?」
詩織には隣のクラスに彼氏がいて、いつも昼ご飯は一緒に食べている。
「なんか、先生に数学教わりに行くんだとー。まったく可愛い彼女を置いて、酷い話だわぁ!」
「そっかー。彼氏さん進学組だもんねー」
……てか、それが健全な受験生の姿だと思うけど。
高三の十月半ばの受験期真っ只中のこの時期に、教科書や参考書を開いている生徒が一人もいないこのクラスの方が、世間一般的には変わっている。
あたしたちの通う高校は付属高校。よっぽと酷い成績じゃなければ、受験もなくエスカレーターで大学にいける。そういうエスカレーター組と専門志望の子が主なこのクラスは、受験の時期の緊張やピリピリもなくて、平穏そのものだ。
詩織の彼氏は付属じゃない大学への進学組。しかも噂じゃかなりの難関校らしい。詩織に聞いても教えてくれないけど。
頭いいんだなぁ。