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第2章 紙とインクに発情中っ！

　詩織はずーっと前から、あたしの絵を好きだと言ってくれる。そして、ある人脈を紹介してくれた人でもある。

「これ、新しい同人漫画のキャラ？」

　詩織は声を潜め、あたしの耳元で聞いてきた。
　それにならってあたしもひそひそ声で応戦。
　まあ、一番後ろの席だしまわりに人いないから、そんなひそひそ話さなくても平気だと思うけど。

「違う、むらっとしたから落書きしてただけ」
「なーんだ」

　ちょっぴり残念そうに、詩織は笑った。
　そう、同人誌。実は一年くらい前から、オリジナルのBL漫画を描いている。そのきっかけは詩織の友達で、あたしの絵を気に入ってくれて、同人誌の出し方を教えてくれたの。今は数ヶ月に一度新しいのを描いて、コミケで売っている。
　うちのクラスはオタクとかそういう人たちにも寛容で、絵を描くのが好きなことはオープンにしてるけど、さすがに同人誌の件は、隠してる。がっつりエロありBLだしねぇ。
　知ってるのは詩織と、仲のいい友達二人くらい。
　あと、幼なじみのあいつだけ。