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あたしに全部見せなさいっ!
第9章 二人の気持ち
そう言って、柚留がチャリの男から受け取ったのは、なんと鞄だった。
あー!! そういえばあたし鞄無い! 襲われていた柚留の前に飛び出した時に、無意識に放り投げていたみたいで……。
柚留も同じ場所に自分の鞄を忘れていたみたいで、柚留が受け取った鞄は二つ。一つをあたしに返してくれる。
「あ、ありがとう……ございます?」
礼は言うけどもっ。一応忘れ物を届けてくれたんだし?
だけど最大の疑問が一つ。
「あ、あなた誰なんですか?」
その問いに答えたのは、隣に立つ柚留でも、チャリの男でもなかった。
男の後ろには、気づかなかったけどもう一人誰かが乗っていたのだ。
「まーだわかんないの? 鈍感まーりね!」
聞き覚えのありすぎる声に、思わず叫んでしまった。
「し、詩織ぃ!?」