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あたしに全部見せなさいっ!
第9章 二人の気持ち
嬉しそうに、にーっこりとする柚留。
……うーん、どうしても可愛い以外の形容が浮かばないんだよなぁ。それはあたしのせいじゃないと思うっ。
「早く帰ろう。暗くなっちゃったし」
「うん」
自然と手は繋いで。家までの道を歩き出そうとした時だった。
ーーちりん、と、自転車の音がした。
あたしはぞっとして、恐る恐る後ろを振り向く。
目を直撃する眩しいライト。
さっきの変質者だ!
「ゆ、柚留……」
逃げなきゃっ。
とっさに柚留の腕を掴んで、走りだそうとした時だった。
「おい、忘れ物。まったく、森永も藤峰も、二人揃って気付かないとかどんだけだっ」
「……へ!?」
あまりにも気さくに話しかけてくる、チャリの持ち主に唖然。
忘れ物? ん? てかなんであたしたちの名前知ってんの!?
混乱するあたしの隣で、柚留はやっぱり柚留だった。
「あ、ありがとー」