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あたしに全部見せなさいっ!
第10章 あたしに全部見せなさいっ!
唐突に、そうしたくなったから。
こんな可愛い寝顔だって、今までちゃんと見たことなかった。柚留が見せてくれる全てが新鮮で可愛くて、大好きでいとおしい。
「今日大人の階段のぼれなくたって、別にいいもーん」
あたしも負けじと、柚留の体にむぎゅっと抱きつく。そのまま目を閉じた。
明日も明後日もその次の日も。これから先も柚留はずーっとそばにいる。あたしが柚留のそばにいる。
きっと今まで見えてなかった柚留のいろいろな部分を、たくさん知っていけるんだと思うと、これからの日々が楽しみで仕方なかった。
可愛いところも恥ずかしいところも嬉しいことも嫌なところも、今まで気取らせなかった心の中も、全部。
ーーあたしに全部見せてほしい。今度は漫画のためじゃなくて、あたしのために。
「柚留、大好き」
柚留の温もりに包まれて寝た、その日の夢は甘かった。本当は覚えてないけど、とても幸せな夢だった気がする。