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あたしに全部見せなさいっ!
第3章 オトコの研究法!?

 無理やり柚留の指を開き、えんびつを握らせる。
 拒否権なんてありませんっ。せっかく手に入った資料を手放す気なんて、あたしには一切なかった。
 柚留はしぶしぶ名前を書く。字まで可愛い丸文字だ。
 スケッチブックを確認すると、汚いあたしの文章の下に、しっかりと書かれた柚留のサイン。

「ふふ、ふふふふふ……」

 これで柚留は一ヶ月、あたしから逃げられない。あますとこなく男のあれこれを観察し、きっといい漫画が描けるはず!
 ついつい邪な笑いがこぼれる。
 そういえば、全部えんぴつで書いちゃったけど。消しゴムで消えるけど。そんなことはどうだっていいのだ。

「じゃあ、柚留。早速明日から協力してもらうからね。あたしの部屋に来てね」
「う、うん……」

 明らかに警戒している眼差し。だけどそんなことは気にならないくらい、沸き上がる創作意欲にあたしの脳内は溶けそうだった。
 あたしは上機嫌で、自分の部屋まで帰った。その日は興奮で朝方まで眠れなかった。
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