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あい、見えます。
第3章 見つけ出して


  *  *  *


国崎の返答が分からないと答えたら、勉強不足だと偉そうな顔で言われたが、案の定、今回も、彼の恋愛談義については深く聞くこともできないまま、お開きにすることになった。
参考になるかもしれないから、彼の恋愛談も聞いてみたいと思っていた佐々木だったが、国崎の答えは飄々としたものだった。

―――俺の恋愛なんて参考にしたって仕方ないでしょ。晋さんは晋さんなんだし。

当然といえば至極当然のことを、酔いの回った表情のまま、それでもキッパリと言ってのける国崎は、やはり余り自分の恋愛を口にしたく無いタイプなのだろう、と佐々木は推測する。
まぁ、当人が話したく無いことを無理やり聞き出すのも品が無い。
そのうち互いに話せる時も来るだろう、などと気楽に考えながら、佐々木は店のドアに手をかけた。



閉店時間を少し押したが、文句ひとつ言わずに美味しい酒を飲ませてくれた店から外に出れば、僅かに朝日の気配を感じる。
国崎は、そのまま『Dance』に出勤して、仮眠してから仕事をする、と職場への道を歩き出したが、最後に振り返って、人気のいない朝靄のかかった歓楽街で片手を挙げると、不意に声を張り上げた。

―――晋さん、波にまかせて進んでください!

その手を額に持って行き、敬礼してから身を翻す姿は、とても『Dance』のチーフバーテンダーとは思えない。
だが、どんなに酔っていても、整った顔立ちの彼がやると様になるのだから困ったものだ。

(イケメンっていうのは、得だな)

表情を緩めて苦笑しながら、佐々木は駅への道を進み、足早に帰宅した。


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