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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて
(これ……)
知識だけはあるけれど、それが男の人の熱なのか、もしそうだとして、どうすれば良いかが分からず、遥が無意識に佐々木の太腿の上で腰を引く。
その動きに、佐々木が一瞬動きを止めて、小さく微笑んだ気配がした。
不安と緊張は胸の奥に残っているのに、頭を静かに撫でられると心地よさに表情は緩む。
「ここで、やめておきましょうか」
「……」
だから、穏やかな声に、はっとした自分に、遥自身も戸惑った。
パッと弾かれたように声のした方へ顔を向けると、何ともいえない表情で彼女は「なんで…」と呟く。
その頬を、無骨な指で辿られて、もう何度目かの胸の高鳴りが遥の心を揺らした。
「身体を繋げることだけが、全てじゃないですしね。それに……、私も、最初は”お休みなさい”を言うだけのつもりだったんです」
「……」
「案外、自分は堪え性が無いんだな、と思いました」
佐々木は、普段と変わらない口調なのに、触れる肌の熱さや、下肢が伝える僅かな脈動が、遥には痛いほど伝わってくる。
「初めてなら、尚更、大切にしたいでしょう?」
そう告げて、自分を少し強く抱きしめた佐々木の唇からは、熱い息が漏れていた。
密着した胸は、トクントクンと、どちらのものか分からない心音で揺れている。
目を閉じて、その音を聞いていると、少しずつ気持ちがクリアになっていくのを感じた。