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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて



「佐々木さん」



遥は、目を閉じたまま、彼の名前を呼んだ。



「私……、佐々木さんのこと、信じてます」



唇に乗せると、意外とすんなりと、その言葉は声になった。






そっと腕の力を緩められ、佐々木に下から見上げられたのを腕で感じる。





彼の顔に、右手を添えた。





人の顔を、指先で辿るなんて、初めてだった。





太い眉、長いまつ毛、通った鼻筋、何度も自分に触れた唇。





見えるわけが無いのに、触れていたら見える気がして、輪郭を確かめるように丁寧に撫でる。





最後に、中指で辿った唇に、自分の唇を重ねる。





恥ずかしさと静けさのせいで、やめないで、という言葉を声には出来なかった。





代わりに、遥は、ただギュッと、佐々木の顔を腕の中に抱きしめた。





「遥」





名前を呼ばれ、反射的に腕に力が篭った。





脚にも力を込めて、佐々木にしがみつく。





触れたくて、離れたくなくて、離されたくなかった。





理由の分からない切なさに目尻が熱くなり、苦しくて溜まらない。





と、佐々木が微かに息を吐き、身体を倒してくる。





「……ぁ」





背中がシーツに近づき、離れてしまいそうな温もりに、不安が小さな声になった。





それでも彼は、自分を仰向けに横たえさせると腕の中から抜け出てしまう。





「まったく……」





根負けしたと言わんばかりの声に、浮かんでいた涙が目尻に滲んだ。





何か間違えてしまったかと心がキュッと締め付けられた時、濡れた目元に何かが触れた。





佐々木の唇だと気付いた時には、彼はベッドを揺らして身体を起こしていた。





すっと距離を取る気配に、上体を起こしかけたら、横から低く囁かれる。








「嫌だと思ったら、すぐ、言うんですよ」







その声は優しかった。







身体の奥が、一気にふわりと熱を帯びた。







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