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あい、見えます。
第9章 あい、見えます。
「……ぁ、アッ…、はッ……、ぁ、アッ」
唇から嬌声しか紡げずに、悔しくて、乾きかけた涙が再び溢れると、不意に、クチュン…と音を立てて指を引き抜かれる。
「あッ……」
消えた圧迫感への僅かな安堵と、去っていく温もりへの切なさに、反射的に佐々木の方へ顔を向けると、覆いかぶさる気配を感じた。
「遥さん?」
真剣な声は、切迫した想いを遥の耳に伝える。
「苦しかったですか?」
「……」
真摯な言葉と、心配する声音に、遥の胸が、また締め付けられる。
首を振ると、微かに安心したらしい吐息が頬に触れた。
「痛かった?」
尋ねながら、佐々木は濡れた目元に唇を落とし、そっと涙を吸い取ってくれる。
その涙は、痛みのせいじゃない。
遥が首を振れば、その頬にもキスをしながら、佐々木が、それでも、まだ不安の残る声で部屋の空気を揺らす。
「じゃあ、どうして?」
囁く声は、優しくて甘い。
「愛しくて……」
声をあげすぎて、少し掠れた声で告げると、言葉にした瞬間、また腰の奥がジン…と熱くなった。
「愛しくて……、佐々木さんの名前を、……呼びたくて。何度も……、何度も、呼びたくて。だって、……私―――」
突然、唇を塞がれて、舌が滑り込んだ。
荒々しく入り込んだ舌は、深く絡み、吐息さえ飲み込むように角度を変えながら吸い付いてくる。
互いの唇を濡らす唾液を音を立てて飲み込みながら、まだ足りないと言いたげに、佐々木は片手で遥の頭を押さえると、逃さないままキスを深めた。
(あぁ……)
乱暴な口付けなのに、佐々木の気持ちが痛いほど伝わってくる。
呼吸が出来ず、心臓が内側からドンドンと胸元を叩いていた。
それでも、遥は自ら佐々木の首に両手を回すと、その顔を引き寄せた。
「……ん」
濡れた舌が絡みあって、口腔を撫でられるだけで、触れ合う身体が溶けていく気がする。
鼻先がぶつかるのも構わずに、もっともっとと唇を重ねていれば、濡れた太腿の奥に佐々木の指を感じた。
先程まで3本の指が入っていたそこに、再び入ってくる指に、自然と腰を浮かせる。