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あい、見えます。
第9章 あい、見えます。


「……ぁッ……は」


長い指が何の抵抗もなく滑り込んだ瞬間、ほどけたキスに、一気に脱力した腕が佐々木の髪を撫でながらシーツにパタリと落ちた。


佐々木の息も荒い。


腰の奥を探っていた指先は、くにゅりと周りを撫でてから、引きぬかれていく。


「……は、ぁ…」


抜かれる指の感覚に、微かに身体は震えたけれど、力は入らない。


ただ、熱いキスの余韻に呼吸を乱していると、佐々木が熱っぽい溜息をつく音がした。


小さく笑ってから、ふぅと自分を律するように深い息を吐いている。


「あやうく、波に飲まれてしまうところでした」


「え……」


「俺も、男ですから」


遥の頬が、ふぅっと熱を持った。


”俺”と言った佐々木に照れただけではない。


その手を取られて、徐ろに導かれ、握らされたそれの正体に気付いたからだ。


「そのまま、持っていて」


「……ぇ」


「手伝ってください」


何を、と問うよりも、佐々木の熱を握る遥の指にゴムの感覚が触れる方が早かった。


「あ……」


「私自身、もう少し……、我慢が利く方だと思ってたんですけどね」


「……はい」


そっと指先を剥がされて、それでも触れていた佐々木の熱の感触は簡単には消えず、緩く拳を握ってしまう。


「きつかったら止めますから。必ず、言ってください」


「は、い……」


足を開かれて、恥ずかしさに眉間にシワが寄った。


それでも、指で慣らされていた、その場所に、熱いものが触れると、怖さよりも愛しさがトクントクンと息づいた。


広げられた脚の膝裏に手を添えられて、少し掲げられる。


「貴方と、繋がりたい。……いいですか?」


こんな時まで、律儀に気遣ってくれる佐々木に、嬉しくて、幸せすぎて、遥は頷くことしかできなかった。


口を開いたら、泣いてしまいそうだった。


だから、この温かい想いが伝わるようにと祈りながら、彼に微笑んで頷く。


「……ッ、ぁ、……アッ」


指よりも圧倒的な質量をもった、その熱は、途中まで入ったかと思うと、一気に奥まで入りこんできた。



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