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テンプテーション【完結】
第3章 囲い込まれる野良猫
     *

 朝食の後、特に予定があったわけではなかったので半分くらいはこうなるだろうなと予想はしていたけれど、現在、貴博さんに組み敷かれ中です。嫌ではないし、むしろちょっと期待していた部分もなきにしもあらずだったのでいいんだけどっ!
「ん……あぁっ」
 寒いからパジャマの上にカーディガンは羽織っていたけれど、貴博さんの手に掛かればそんなものは数に入らないらしい。あっという間にはぎ取られ、下着ごと下も脱がされてしまっていた。
 意識しないようにしていたのだけど、実はずっと違和感がまとわりついていて中がむずむずとしていたのだ。
「真白のココ、濡れてる」
「ぁ……やだぁ」
 分かっているけど! 分かっていたから知られたくなかった。
「昨日はお互い疲れていたけど、一晩寝たらすっかり元気になってしまってさ」
 貴博さん、言わないでも分かってます。さっきから主張するように私の足に当たってますから!
「このまま外に出たら悶々とするから、一回だけ」
「外出、するんですか?」
「マンションを契約しに行こうかと思っている」
 そういえば、朝ごはんを食べながらそんな話をしていたけれど、それって明日以降の話だと思っていた。
「真白が片付けをしてくれている間に電話が掛かってきて、午後から話を詰めたいと言われたんだ」
 電話が掛かってきていたらしいというのは知っていたけれど、そんな性急な話になっていたことに驚いた。
「真白を早く立派な俺の飼い猫にしたいからね」
 やっぱり猫扱いですか、私。またもや甘えん坊の大型犬にじゃれつかれている猫を想像すると、やはり笑えてきた。
「なーに笑ってるんだ?」
「私が猫なら、貴博さんは甘えっ子の大型犬だなと思ったらおかしかったんです」
「猫姫さまを護る護衛犬だからな、俺は」
 顔を見合わせ、くすくすと声を上げて笑った。
「真白」
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