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テンプテーション【完結】
第3章 囲い込まれる野良猫
 貴博さんが甘い声で私の名を呼び、じっと瞳をのぞき込んできた。眼鏡を外してサイドテーブルに置くと、顔を近づけてきた。
 キスをされるんだと察して目を閉じると、唇に柔らかな感触が届いた後、何度か喰まれた。
 自然と息が上がり、次第に熱くなる身体。
 優しいキスの雨が何度も私の上に降りかかってきて、だけどそれだけでは物足りなくて、うっすらと口を開くとすかさず舌が入ってきた。絡められる舌が甘い。
 そういえば、初めての時はアルコールが入っていたせいでずいぶんと大胆なことをやったような気がするけれど、今は素面だ。そう思うと急に恥ずかしくなってきたけれど、貴博さんの不埒な手が身体のあちこちに触れていくのもあり、恥ずかしさよりも気持ち良さの方が強くなってきた。
 貴博さんの大きくて熱い手のひらが私の胸を包み、こねていく。
「真白、痛くない?」
「ん……大丈夫」
 少し心配そうな声に笑みを浮かべると、貴博さんの頬が赤くなったのが分かった。
「真白……かわいい」
 唇だけではなく、頬に首筋に、鎖骨に胸にとキスが降り注ぐ。この気持ち良さをどうすればいいのか分からなくて、貴博さんにぎゅっとしがみついた。
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