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忘れられる、キスを
第14章 無意識
「いっ………!」

思い切り足を踏まれ、痛さのあまり思わずしゃがみ込む。

ちょっと…やり過ぎだったかな…?

お化け屋敷を出た後、ほんの少しだけ後悔して、でも、顔を紅く染めて涙目で抗議する先輩を見たら、仕方ないなと納得する。
むしろ、昨日の夜、部屋にいたのに襲わなかった自分を褒めてやりたいくらいだ。

暗闇の中で抱きつかれ、鼻先をくすぐるシャンプーの香りが俺の理性を煽り立てた。
浅く、深く、角度を変えて何度も何度もキスをした。

また、拒絶されてしまう。
やめなくては。

そう思っても止められなかった。
彼女の心に棲む倉田先輩を何としても追い出したくて焦っていたのかもしれない。
そして、改めて触れた彼女の唇や頬、それから思っていたよりもずっと過敏に反応した耳朶。
それらは俺を激しく駆り立てた。

けれども、アトラクションの終了と共になんとかふみとどまった。
懲りずに耳を責め、こうして反撃されてしまったわけだが。

「ご、ごめん…!そんなに強く踏むつもりじゃ…」

うずくまる俺の横に先輩が慌てた様子でしゃがみ込む。
ごめんね、大丈夫?と顔を覗き込む。

ほら、そんなことするから…

「隙あり」

ぱっと顔を上げ、先輩の唇を奪った。


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