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忘れられる、キスを
第16章 決着
帰り際、「ありがとう」と微笑まれ、俺はまた心臓がぎゅっと掴まれるような感覚に陥った。
ああ、この表情。
抱きしめたい、と思うのは当然で。
もう一度、好きだと伝えることは容易い。
けれど、今の自分は学生で、就職も決まっていない。
先輩に、少しでもこっちを見てもらいたくて、就活は頑張ってきた。
結果が出るのはもう少し先。
それまで、あと少しだけ、待って。
しばらく会えないのは寂しかったけど、そう、伝えた。
「待つのは、得意だから」
そう言って笑う先輩に切なさが込み上げる。
倉田先輩からの連絡も、そうやって待ってたんだよね。
「ごめん」
思わず謝ってしまう。
待つの、辛かったはずなのに。
また、待って、なんて。
酷な話だ。
えっちゃん先輩は「なんで、ごめん?」と俺を不思議そうに見上げた。
なんでもない、と話題を変える。
「就職、決まったらお祝いしてくれるんですよね」
「うん、フレンチフルコース、とかは無理だけど…星くんの行きたいところで」
「じゃあ、なんか考えときます!」
応援してるね、とにっこり笑う先輩。
その顔、待受にしていい?
思わず携帯に手が伸びそうになる。
その笑顔だけでやる気も百倍。
来週からも頑張れそうだ。
先輩の最寄り駅まで送ると、また「ありがとう」と笑って小さく手を振った。
俺は先輩の後ろ姿が見えなくなるまで改札口にぼんやりと立っていた。
ああ、この表情。
抱きしめたい、と思うのは当然で。
もう一度、好きだと伝えることは容易い。
けれど、今の自分は学生で、就職も決まっていない。
先輩に、少しでもこっちを見てもらいたくて、就活は頑張ってきた。
結果が出るのはもう少し先。
それまで、あと少しだけ、待って。
しばらく会えないのは寂しかったけど、そう、伝えた。
「待つのは、得意だから」
そう言って笑う先輩に切なさが込み上げる。
倉田先輩からの連絡も、そうやって待ってたんだよね。
「ごめん」
思わず謝ってしまう。
待つの、辛かったはずなのに。
また、待って、なんて。
酷な話だ。
えっちゃん先輩は「なんで、ごめん?」と俺を不思議そうに見上げた。
なんでもない、と話題を変える。
「就職、決まったらお祝いしてくれるんですよね」
「うん、フレンチフルコース、とかは無理だけど…星くんの行きたいところで」
「じゃあ、なんか考えときます!」
応援してるね、とにっこり笑う先輩。
その顔、待受にしていい?
思わず携帯に手が伸びそうになる。
その笑顔だけでやる気も百倍。
来週からも頑張れそうだ。
先輩の最寄り駅まで送ると、また「ありがとう」と笑って小さく手を振った。
俺は先輩の後ろ姿が見えなくなるまで改札口にぼんやりと立っていた。