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忘れられる、キスを
第16章 決着
遊園地デートから数週間、俺は怒涛の面接ラッシュを迎えていた。
来る日も来る日も様々な企業で志望動機や将来設計なんかを話し、毎日ぐったりとして家に寝に帰る日々だった。
けれども、先輩のこともあってか、面接の調子もよく、五月中旬までに複数の企業から内定を貰うことができた。
結局、六月頭頃まで就活を続け、かねてからの第一希望だった大手商社に入社を決め、就活は大成功とも言える終わりを迎えた。

今すぐにでも、先輩に連絡して、会いたかったが、その前にもう一つ、俺にはやらなければならないことがあった。
こんなこと、本当はしない方がいいけど。

俺は大学の就職課に就職先の報告をしたついでに、OB名簿を覗いた。
そこにはOB訪問用に、各企業ごとに分かれ、卒業生の名前と連絡先が記載されている。
ある人物の連絡先を控え、大学を出て、家へ戻った。

六月に入り、じめじめとした気候が続いている。
細く降り続く雨がうっとおしい。

先輩、元気かな…

そんなことを考えつつ、先程控えた連絡先に宛ててメッセージを作成する。
何回か読み返し、変な所が無いかチェックをして、送信ボタンをタップした。

あーあ…送っちゃった…
こんなのに、返信くるのかな…

自分のしていることに若干の後悔を感じて、携帯をベッドの上に放り投げた。

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